父を偲んで |
| 梅に聞く 今年の春は来るのかと父なき春も来てしまうのかと 「この壷の中には父がいる」と言うその姿見ろ 「ある」と言うべき 言ってくれ「泣いてもいいよ」と言ってくれ 蘇えり来てそう言ってくれ父 魂の生まれ変わりを信ずという民に生まれて くればまだしも 「お前にはまだわからない」と戯れで 言った言葉も確かめられずに シリウスは祖父の変わった姿だと教えてくれた 父の星どこ 雄々しくも猛々しくもあった父 優しさ故だと気づかぬままに 「のりうつれ僕の体にのりうつれ」 父の霊魂だけは信じて 夢を見て夢と知らずに掴まえた父の腕には 血管走り 人ごみに父の姿をかいま見て 他人の空似と知って近寄り 一度くらいフグを一緒に食べようと約束したのに 約束したのに 自転車で駆けながらふと父を呼び 泣き出すまいと歌を歌って 父という字 眼と口が見え出す父という字静かに笑った父という父 |
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